写経の時間~副住職法話と写経~

講座名写経の時間~副住職法話と写経~
開催日時2023年5月10日 (水)14:00~16:30
場所2階中小会議室
内容

『弘明寺観音』美松副住職をお招きして初めての人にも分かりやすく、写経の目的・作法や仏教の教えに基づいたお話をしていただき、一緒に写経を行います。

※書き上げられた写経はご希望であれば当館でお預かりし、弘明寺観音に納経させていただきます。

対象成人
定員20人(先着順)
参加費500円※当日お支払いください。
持ち物特にありません。※写経セットを用意しています。
受付開始日4/11~電話または直接施設へ(初日のみ来館9時30分~ 電話13時~)
実際の様子

令和5年度も引き続き3ヵ月に1度、弘明寺美松寛大副住職にお越しいただき、写経の功徳や作法にとどまらず仏教についての素朴な疑問にお答えいただき、ざっくばらんにお話しいただきます。

5/10(水)『写経の時間~副住職法話と写経~』を開催し、13名の方にご参加いただきました。今回も初参加の方が4~5名いらっしゃり、「筆を持つ機会が欲しかったので参加しました」とのお声をいただきました。

 

 はじめに副住職より「写経の功徳・意義・作法」についてのお話をうかがいました。昔はコピーする技術が無かったため、お坊さんが勉強のための経典が無い時、自分の国の言葉に訳す必要があり、大変なことだった。インドの言葉から漢訳したものが現在の般若心経であり、最初に玄奘三蔵が持ち帰って漢訳されたそうです。玄奘三蔵とは西遊記の三蔵法師のことです。

 次に写経の意義についてお配りしている『写経のしおり』に沿ってお話しくださいました。今、御朱印帖を持って寺院を訪ねる方が多くなっていますが、これが単なる「スタンプラリー」にならないようにすることが大事です。御朱印帖イコール納経帖と捉えていただきたい。四国八十八か所または坂東三十三観音の札所をお参りするには本来その数の写経を持参するかそれが難しければお参りしたお寺で般若心経を唱えることが大事です。ともおっしゃいました。

 最後に作法についてのお話しです。写経講座では「塗香」と言って手にお香を塗って手を清めてから写経を行います。寺社仏閣に行ったらお参りする前に「手水」をしますが、これは単に手を綺麗にするというより自分の心の垢、不浄なものを洗うという意味があります。

また、『写経のしおり』に写経を終えたらそれを再度「観想」し、普回向を唱えて終了するとありますが、「観想」とはイメージすることで、一文字一文字が一体の仏様と思って書いてください。筆を彫刻刀に例えて仏様を掘り出していくようなつもりで書くことが大事です。                                  

ここから約1時間半静かに集中して写経に取り組んでいただきました。その間、副住職が皆さんの席を回ってアドバイスくださいました。

写経終了後、副住職の法話を伺いました。

 副住職は「初めての方、少し疲れたのではないですか?」と呼びかけられ、長い時間集中してやることは非日常かもしれませんね。まとまった時間に物事を集中してやることは貴重な時間になっていると思います。今はそれを「整う」とも言うのでしょうか。現代のストレス社会、自分の心と向き合う時間が確保できればストレス軽減になるかもしれません。

 お寺は何をするところ?お坊さんは何をする人?と聞かれた時、法事をするところ、する人と思われるかもしれませんが、それだけではないというふうに思ってもらえたら嬉しいです。

色々なものが自動化され便利になったが、人の気持ちが伝わりにくくなったと思います。般若心経は「空」の境地を説いている。「空」の境地から見れば本来実体がある訳ではなく、本質的に同じなのである。みんな比べて見たがるが、色々な人がいるから立場が違う人をみんなが比べる。羨ましがる人もいれば見下す人もいるかもしれない。そういうことを取っ払ってしまいましょう。般若心経にはそう書いてあります。仏教国タイでは、当たり前にあることに対して物凄く幸せを感じる。人と比べるのではなく、今自分がここにいることに対してとてつもなく幸せに感じる。日本人も昔はその感覚を持っていたのではないでしょうか。

「ありがとう」とは「有難う」有るのが難しい=めったにない

人は10世代さかのぼると1024人のご先祖様がいることになり、一人でも欠けたら自分はここにいない。そのこと自体がめったにない=有難いこと。

受け手の心をくむ力が大事であり、「ありがとう」は物に感謝している訳ではない。自分に対して向けてくれたあなたの気持ちに対してである。色々なものが段々と簡素化(それは無機質である)して行って人の気持ちをくめる力がついて来なくなっている。

 元々すべての事象に実体がなく「空」なのであるから、比べるとか比べられるという対象がなくなるのです。ですから比べて誰かを傷つけたり自分も傷つかない。相互に尊敬をする。相手の気持ちを取ろうとくんでいくことが大事です。今は多様性が大事な時代です。他の人の多様性を受け止めきれますか?これを機会にもっと考えてみて欲しいと思います。と法話を締めくくられました。

参加の皆さんからは「副住職のお話は初めて聞くことで、勉強になりました」「無心に集中する貴重なお時間でした」「心が豊かになり明日からも頑張れるかなと思いました」などのお声をいただきました。

皆さまありがとうございました。